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混枠基規〜You can change your criterion〜

権力者が定めた情報の価値観は、ヒトを支配し行動を促す。

情報発信者に多大な利益をもたらす広告主は、様々な面で尊重・優遇さ
れる。

「売れるものほど凄い」という基準。
メディアの流す様々な売り上げランキングがヒトを扇動する。

広告主に対して開示される情報は、数値化されたデータである方が当然、
理解され易く説得力も強い。視聴者数・販売数などの数字で表現できる
データは必然的に有力な指標となる。

それこそ小さな子供でも判断できる、単純な数字で表現した優劣が強力
な説得力を放つ。

数値の大小で判断できるなら、それは容易だ。しかし示されている数値で
の大小判断は「考えている」とは言えないだろう。「考える事」を忘れたまま
生きていける社会が構築される。

その社会はヒトから「考えて選ぶ」という機会を半ば奪い去り、庶民には意
味・価値のない権力者の価値観が強制的にインストールされる。

「これだけ多くの人間が見ている番組ならCMを流そう」
「これだけ多くの人間が買う雑誌なら広告を出そう」
と、数値を基準にして広告主は広告料の支給先を選択する。

広告主すなわち大企業とメディアには強固なカネのパイプが結ばれる。
本来その数字を真剣に見るのは、広告主だけでいいはずだ。

世間とは当然「その他大勢」の多数派である。多くの人間に向けた商品開
発とは「標準以下の理解力の人間」に向けた配慮を行うことになる。

受けることを前提にした商品開発とは、多数派をターゲットにするものであ
り、必然的に質よりも解りやすさに重点を置くことになる。難解でないこと・
単純であることが条件となる。

糸井重里氏のHP(*アドレスは文末)に以下のようなTV製作者の言葉が示
されている。

『実は、ぼくら地上波のテレビをやっている人たちは、視聴者を信じて
 いないんですよ。見ている人のことを、かなりモノがわからない人だ
 と想定して、その人たちにどう見せるかと工夫しているんです。
 ものすごく悪い言い方をすると、もう「馬鹿にどう見せるか」と、みん
 な絶対にクチには出さないけれども、どこかの所ではみんながそう
 思っているようなフシがありますね』

TVなどで発言すればそれは騒動になる言葉だろうが、受け狙いの商品開
発の本質とはそんなものだ。知識の無い人間・理解力の乏しい人間に向
けた設計が求められる。
出演者の言葉をそのまま文字として表示したり、CM後に既に流した映像
を繰り返したり…。
本・書籍に例えれば、「全ての漢字に振り仮名が付いてる本」、酷い時には
「平仮名だけで書かれた本」。そういうモノを「解り易いから」と支持する。
視聴者数・広告料という数字の力にヒトは突き動かされる。

実際には「一番売れたCD」を「一番質の高いCD」だと考える人間なんて、
まず居ないだろう。
「100万枚売れたJPOP」と「1万枚しか売れていないCLASSIC」を比べて
優劣を決める人間なんて居ない。

しかし、メディアの流す無数の売り上げランキングの情報は、数値の大小
での優劣判断を世間に対し強力に請求する。

冷静に考えれば、優劣を示したモノではないと判断できるだろう数値に、
人々は翻弄される。

本来、受け手自身が判断すればいい、芸術や文化の無数にあるはずの
価値観が権力者の基準で侵食される。

そんな基準も、ネットの浸透で様々な醜聞も露呈し、以前よりは請求力
を弱めているはずだ。本来、権力者の基準を採用する義務などない。

                                upload date '08.06.13

(*)http://www.1101.com/T-bucho/2002-06-24.html

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